本年度の三田祭研究では、企業は小売店舗を商業集積地に立地させるべきか、消費者居住地に立地させるべきかというマーケティング問題を、消費者行動論的なアプローチから考えました。
[問題意識]
もし皆さんが経営者の立場にあり、新規出店を考えたときには必ず、以下のような課題に突き当たることと思います。
すなわち、『新しい店舗は商業集積地に出店するべきなのか、あるいは居住地への単独出店にするべきなのか』と。
この実務的な課題は、消費者心理についての次のような学術的な課題に変換して考えることができるでしょう。それは『消費者が、なぜ居住地から離れた場所にある商業集積地で購買行動を起こす(あるいは起こさない)のか』という課題です。
例えば、消費者が中華料理を食べる店を探しているとします。このとき、消費者は居住地の近くの中華料理店へ行くのでしょうか。それとも中華街へ行くのでしょうか。その選択には様々な要因が影響を及ぼしていると考えられるでしょう。私たちはこの研究においてこのような要因を探っていきます。
[理論仮説の設定]
私たちは商業集積地(=街)の側に注目し、消費者がそれを選好するのを促進する3つの要因と、阻害する1つの要因とを理論仮説として設定しました。
1. 「街の品揃えは幅広い」
(飲食店、衣料品店、雑貨店など様々な店舗があり、一度にいろいろなものを買えることが消費者メリットとなる)
2. 「街の品揃えは深い」
(競合する複数の飲食店間の比較購買ができることが消費者メリットとなる)
3. 「街に対して好意(良いイメージ)を持っている」
4. 「街への移動コストは大きい」
(居住地に近い店舗よりも移動のための時間やお金がかかることが消費者デメリットとなる)
[実証分析の実施]
私たちはこれらの仮説群を1つの新しい理論モデルで描写し、消費者調査によるデータを用いて実証分析を行いました。そして分析結果に基づいて、企業が新しい店舗を出店する際に考慮すべき点を、本研究から得られる含意として掲げました。
三田祭での研究発表をご覧いただければ、私たち消費者の日頃の何気ない買い物行動の裏にある消費者心理を発見できる良い機会になると思います。
ぜひ小野晃典研究会の研究発表会場にお越しください! |